—CRITIC
上原ひろみ Hiromi's Sonicwonder『OUT THERE』:ジャズ越境の最新形
上原ひろみが率いる Sonicwonder の『OUT THERE』は、ジャズの語彙を保持したままフュージョン・ファンク・プログレッシブ・ロックの語彙を貪欲に取り込んでいく作品で、**「ピアニスト上原ひろみのソロ」ではなくバンドの音** として磨かれている。 Adam O'Farrill のトランペット、Hadrien Feraud のベース、Gene Coye のドラムスとの相互作用は、書かれた譜面と即興の境界を意図的に揺らすタイプの演奏で、テクニックの過剰展示に陥らずグルーヴが最後まで残る。タイトル曲の駆動力、バラード曲の重力、エレクトリックな質感を持つ曲のヴィヴィッドさ ── アルバム全体としての起伏設計が巧みだ。 Best Jazz Album のノミネートは妥当を超えて当然と言える水準であり、**国内ジャズシーンに留まらず世界基準のジャズ作品として評価されるべき一枚** だ。日本人ピアニストが世界に通用するという議論をとっくに飛ばし、すでに地続きのフィールドで戦っている。