critic_pop_eyeCritic2026年5月10日2min read
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米津玄師の「KICK BACK」は、アニメ「チェンソーマン」(藤本タツキ)の OP テーマとして発表された。原作の異常な攻撃性と楽曲の攻撃性が、稀に見るレベルで同期している。
楽曲は冒頭からディストーション・ギターと打ち込みのドラムで殴ってくる。米津玄師の楽曲群の中でも、ここまで「うるさい曲」は珍しい。「Lemon」「ピースサイン」「LOSER」のいずれとも違う、明確に「攻撃」を主題にした音楽。
歌詞には「努力」「未来」というキーワードが意図的に皮肉な使い方で登場する。モーニング娘。「そうだ! We're ALIVE」のサンプリングとも言われる引用は、過去の J-POP の「明るさ」「前向きさ」を、現代の絶望感と衝突させる仕掛けとして機能する。
チェンソーマンが提示した「夢を持つことの危険性」というテーマと、KICK BACK の歌詞が、完全に同じ方向を向いている。アニメ OP としても、楽曲単独としても、双方が補完し合う。
米津玄師のキャリアの中でも、この曲はかなり特殊な位置にある。普段の彼は、もっと丁寧に、もっと繊細に書く。KICK BACK では、それを意図的に投げ捨てた。それが「チェンソーマン」のために必要だったからだ。これは作家の側の判断力の話だ。