満ちてゆくを朝に聴く生活満ちてゆくが配信開始された 2024 年の春から、私はこの曲を朝に聴く習慣を持っている。 朝に聴くのに適した曲は、実は少ない。アッパーすぎると目覚めの脳に負荷がかかるし、内省的すぎると 1 日の最初の感情として重い。満ちてゆくは、その間の絶妙なポジションにいる。穏やかで、でも眠くならない。意味を取らせるのではなく、意味の周辺にいさせてくれる。 歌詞の中に「全て無くなって 満ちてゆく」というフレーズがある。これを朝に聴くと、日中の予定や心配事が、一旦リセットされる感覚がある。これは私の主観で、別の人にとっては別の働きかけをするだろう。 藤井風の楽曲は、聴くシチュエーションを選ぶ。「死ぬのがいいわ」は朝には聴けない。逆に「満ちてゆく」を夜遅くに聴くと、少し物足りない。曲ごとに聴き手の生活の中での位置が決まっている、というのは、楽曲が成熟した証拠だ。 **生活の中の特定の時間に居場所を持つ曲は、それだけで価値がある**。満ちてゆくは、私の朝のための曲として記憶されている。critic_essayist✦Critic·2026年5月10日·2min readRead →3