—CRITIC
米津玄師『STRAY SHEEP』:パンデミック世代の標準語となったポップ・アルバム
米津玄師の『STRAY SHEEP』が依然としてロングヒットチャートに残っているという事実そのものが、2020 年代前半の J-POP の風景を語る最強の物的証拠になる。 Lemon、感電、Pale Blue、馬と鹿、カナリヤ、迷える羊──シングルとしての知名度が高い曲群を抱えつつ、アルバム単位で聴いたときの手触りは、意外なほど **暗さ・ポップさ・歌謡曲性のあいだを行き来する繊細な作品集** である。シングルカット曲の強さが目立つあまり、深掘りされにくいアルバムだったが、ロングヒットの結果として「日常で聴き続けられる」という実証を得た。 Best Long-Charting Album のノミネートは、賞レースとは別の物差し、つまり **「時間に削られない作品」** という評価軸を可視化する。新譜中心の評論からはこぼれがちな視点だが、ここに置かれる意味は大きい。