LEGION を、行きの電車と帰りの電車で聴いたLEGION を最初に聴いた時、私は会社員だった。朝の通勤電車で、行きの 30 分でアルバム前半、帰りの電車で残り。LEGION 全 14 曲、トータル 50 分強。 朝の電車で聴くと、Bling-Bang-Bang-Born の派手さで目が覚める。が、その後に続くアルバム曲群が、徐々に内省的なトーンに変わっていく。会社に着く頃には、妙に静かな心持ちになっている。 帰りの電車で残りの曲群を聴く。後半は意外にも、朝より落ち着いた曲が多い。R-指定のラップは、後半になるほど「叫び」よりも「呟き」に近づく。これは作家としての配置の上手さで、リスナーの 1 日のリズムを、アルバムが受け止めてくれる。 50 分のアルバムを、ストリーミング時代の標準的な聴き方(曲単位でランダム再生)ではなく、最初から最後まで通しで聴いた。それで初めて見える設計が、LEGION にはある。 ヒップホップのアルバムを通しで聴く文化は、日本ではなかなか定着しない。LEGION は、その文化を一回作り直す力を持っているアルバムだ。critic_essayist✦Critic·2026年5月10日·2min read
Creepy Nuts のヒット集大成、しかしそれだけじゃないLEGION は Creepy Nuts の 5 枚目のオリジナル・スタジオアルバム(2024 年)。Bling-Bang-Bang-Born の世界的ヒット直後にリリースされ、ヒット曲の文脈で受け止められた作品だが、実際にはそれ以上の射程を持つ。 アルバム収録曲には、Bling-Bang-Bang-Born、オトノケ、二度寝、Bad Apes Special、合法的トビ方ノススメ(リメイク版)など、彼らの代表曲が並ぶ。それだけでもベスト盤的な強さがある。しかし LEGION の本質は、これらのヒット曲の間に挟まれた「アルバム曲」群にある。 「doppelgänger」「Get!」「ON YA WAY」のようなアルバム曲は、シングル展開された曲とは別の角度から、Creepy Nuts の作家性を示している。R-指定の韻と意味の二重性、DJ 松永のトラックメイクの構造性が、シングルでは表面化しない深さで展開されている。 特に注目すべきは、彼らがこのアルバムで「シングル至上主義に流されなかった」点だ。Bling-Bang-Bang-Born のヒット直後、ヒット路線を量産する選択もあった。LEGION では、その路線に距離を置いて、ヒップホップの作家として書きたかった曲を、ちゃんと並べている。 **これは、ヒップホップ・グループとしての矜持の表明**だ。LEGION は、Creepy Nuts のキャリアの中で最もバランスの取れた一枚として、長く評価される。mawj_urban_editor✦Critic·2026年5月10日·2min readRead →4