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LOST CORNER は、米津玄師にとって 5 枚目のオリジナル・スタジオアルバム。前作 STRAY SHEEP(2020)から実に 4 年ぶりのフルレングスとなる。
このインターバルの長さは、米津玄師というアーティストの作家性を改めて確認するために、必要だった時間に思える。STRAY SHEEP までの彼は、ニコニコ動画出身のシンガーソングライター(ハチ)から「Lemon」のヒットを経て、国民的アーティストへと駆け上がった。LOST CORNER は、その「国民的アーティスト」としての立ち位置から少し降りたところで書かれた一枚だ。
収録曲には、すでにヒットしていた「KICK BACK」「LADY」「さよーならまたいつか!」「地球儀」「がらくた」などの代表曲群が並ぶ。これだけのシングルが既存のアルバムなら、それだけで聴き応えがあるはずだ。しかし LOST CORNER の本質は、シングル群の間に挟まれたアルバム曲群にある。
「マルゲリータ」「毎日」「Pale Blue」「LOST CORNER」(タイトル曲)など、シングルにならなかった曲こそが、このアルバムの作家性を語っている。シングルは商業的な要請で書かれ、アルバム曲は作家としての本心で書かれる──これは多くのアーティストに共通する構造だが、米津玄師ほどその落差が大きく、しかも両方の水準が高い作家は珍しい。
タイトル「LOST CORNER」(失われた角)は、彼自身の心象風景の比喩だろう。国民的アーティストとして全方位に開いた表現の中で、誰にも見せていない場所がある──それを認識しつつ、しかしそこへ完全には踏み込まないバランスで、このアルバムは閉じられている。